終戦の詔書(昭和20815日)


 朕深く世界の大勢たいせいと帝国の
 現状とにみ、非常の措置
 時局を収拾せむとし、ここ
 忠良なるなんじ臣民に告ぐ。

 
朕は帝国政府をして米英支蘇しそ四国しこく
 に対しの共同宣言を受諾する
 むね通告せしめたり。
抑々そもそも


 帝国臣民の康寧こうねいり、万邦ばんぽう
 共栄のたのしみともにするは、


 皇祖皇宗遣範いはんにして、
 朕の拳々けんけんかざる所。
さき
 米英二国にこくに宣戦せる所以ゆえんも、また


 実に帝国の自存と東亜の安定とを
 庶幾しょきするにで、


 他国の主権をし、
 領土をおかすがきは、もとより


 朕がにあらず。
るに、交戦
 すで四歳しさいけみし、


 朕が陸海将兵の勇戦

 朕が百僚ひゃくりょう有司ゆうし励精、れいせい


 朕が一億衆庶しゅうしょ奉公、
 各々最善をせるにかかわらず、


 戦局必ずしも好転せず。

 世界の大勢たいせいまた我に
 利あらず。
加之しかのみならず


 敵はあらたに残虐なる爆弾を
 使用して、しきり無辜むこ
 殺傷し、惨害さんがいの及ぶ所、

 真るべからざるに至る。

 
 続く